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内容の手直しは追々のとりあえず版です。
多くの鳥類は羽のメンテナンスに脂を活用しています。
油分を分泌する器官である尾脂腺、粉になる羽である粉綿羽、といったものを由来とします。
そういった脂を纏った粉、羽の破片、羽軸の破片、皮脂ほか、脂っこい粉を総じて脂粉と呼んでいます。
また、人にとって脂粉は自己免疫疾患を引き起こす要因となる場合もあります。
ここでは、そういった尾脂腺、粉綿羽、脂粉について記します。
多くの鳥には鳥類特有の器官の1つとして脂を分泌するための皮脂腺があります。
もともと卵内で胚が発生する過程ではすべての鳥類に存在するとされます。
器官名を尾脂腺(びしせん│uropygial gland)といいます。
部位は尾羽の付け根あたりで、見た目の形状や大きさは種によって異なります。
この尾脂腺から分泌される脂物を羽繕いによって全身の羽や脚に塗りつけます。
この脂のコーティングでバフ効果さながら特別なステータスを付与します。
人の髪で例えるならコンディショナーが遠からずでしょうか。
尾脂腺分泌物は複雑な成分で構成されており、鳥種、性別、時期などによって異なります。
効果も様々で未知の多い分野です。
脂 oil:常温で個体
油 fat:常温で液体
コバタンといった白色オウム属の尾脂腺のサイズは体格比では小さく、脂粉の量は非常に多くあります。
セキセインコの尾脂腺サイズは体格比で大きく、脂粉量は比較的少ないです。
尾脂腺から分泌される脂は、近年の研究でとても複雑な成分で構成されていることがわかってきました。
その成分は、鳥種、性別、季節、食事、ホルモン状態で変化するとされます。
ヤツガシラでの研究では、尾脂腺分泌物の有無で孵化率に影響することが確認されています。
抱卵時におけるメスの尾脂腺分泌物には悪性細菌を抑制する共生細菌の存在が発見され、これによって卵の感染率を抑えていることるためと結論づけられています。
この共生細菌は尾脂腺内部で高密度に凝集していることが顕微鏡観察により確認されています。
そして非繁殖期と繁殖期、オス、雛鳥では異なる分泌液が確認されており、同じ個体であっても状況で変化します。
また、イエスズメでは別の共生細菌が確認されたり、ムジホシムクドリでは細菌そのものが確認出来なかったり、種によってもまちまちです。
確認された種もごく一部であり、今後も未知の成分が検出されることが期待されます。
尾脂腺分泌物には様々な効果があるとはいえ、日常的な基本効果は共通すると考えられます。
日常使いの定番であれば羽へのワックス効果は必須でしょう。
●脂分によるワックス効果
・摩擦防止となって羽毛の破損を防ぎ、耐久力を高める
・艶を出して美しさを高める
・撥水性を強化
・汚れや汚染物質の排泄効果
・外部寄生虫からの保護、防虫効果(ハトで確認)
・羽毛を分解する細菌や真菌に対する抗菌作用(ヤツガシラで確認)
●体内で生成されたビタミンD3の前駆体(プロビタミンD3)が含まれており、太陽光の紫外線作用でビタミンD3に変換されて摂取可能となる(一部鳥種)
●フェロモンの生成、性的な補助機能
・発情状態を示して求愛効果
・アマサギの発情期における亜麻色やオオフラミンゴの桃色などを色濃くする効果
・紫外線域で可視されている羽色による性差を演出(セキセイインコなど)
メスのセキセイインコは体臭によってオスとメスを区別することができ、その性的二型を示しています。Uropygial gland-secreted alkanols contribute to olfactory sex signals in budgerigars – PubMed尿球腺分泌アルカノールはセキセイインコの嗅覚性シグナルに寄与する – PubMed (nih.gov)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20212012/
■尾脂腺揮発性物質は,ジュウシマツ,Lonchura striataにおいて性,個体および種について嗅覚情報をコード化するかもしれない
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002293248817658
ヤツガシラ(8SXSD HSRSV)という鳥では,オスや非繁殖期のメスは白色の分泌液を尾脂腺から出す.
一方,雛鳥や繁殖中のメスの尾脂腺の分泌液は白色ではなく茶色であり,共生細菌が多量に含まれている 2).そ
れら共生細菌は,尾脂腺内部で高密度に凝集していることが顕微鏡観察により明らかにされた.共生細菌は鳥類
に不利益な病原細菌や羽根を溶解する細菌に対して抗菌作用を持つことが,分離細菌を用いた実験で示されている
ビタミンD3(コレカルシフェロール)は、太陽光の中波長紫外線(UV-B:波長280nm~315nm)により体内の7-デヒドロコレステロールを皮下毛細血管で変質させて生成します。ビタミンD3はカルシウムやリンの代謝に必須であり、サプリなどでも摂取可能とされますが、サプリのみで摂取していると紫外線から生成する能力は次第に欠乏されていくとされています。なお、紫外線UV-Bは厚さ6mmのガラスでも遮断率100%であり、窓越しではビタミンD3の生成は出来ません。
一部の鳥種では尾脂腺があまり発達していなかったり、痕跡器官さながら機能していません。
それらの鳥たちの多くは尾脂腺分泌物に代替する特殊な羽が備わっています。
それは粉綿羽(ふんめんう|powder down)です。
名称通り綿羽(めんう|down fether)と似た羽で、同じように羽軸もありません。
粉綿羽の大きな特徴は、羽鞘に包まれずに伸び続け、解されるとケラチン質の細かい脂粉になることです。
この粉を羽繕いによって全身の羽や脚に塗ることで尾脂腺分泌物と似た効果を得ます。
尾脂腺によるファットオイルコーティングと違いは、こちらは粉末ベースのコーティングです。
粉綿羽をもつ代表種は、エミューなどの飛ばない平均類、ハト科、ボウシインコ属など。
そして鳥種によっては特別な効力も備えています。
尾脂腺は鳥類特有の器官で、卵で発生して孵化する過程においてはすべての鳥類に存在するとされます。
ただし鳥類すべてがその器官を機能活用しているわけではありません。
一部の鳥種では尾脂腺があまり発達していなかったり、痕跡器官さながら機能していません。
胚の発生時には備えているにも関わらずの退化なので、より環境に適応した方法を選んで切り捨てたのでしょう。
これはあくまで個人的な推察で、疑問に対する研究論文にはまだ出会えていません。
そして、それらの鳥たちの多くは尾脂腺分泌物に代替する特殊な羽が備わっています。
それは粉綿羽(ふんめんう|powder down)です。
名称通り綿羽(めんう|down fether)と似た羽で、同じように羽軸もありません。
粉綿羽の大きな特徴は、羽鞘に包まれずに伸び続け、解されるとケラチン質の細かい脂粉になることです。
この粉を羽繕いによって全身の羽や脚に塗ることで尾脂腺分泌物と似た効果を得ます。
尾脂腺によるファットオイルコーティングと違いは、こちらは粉末ベースのコーティングです。
代表的な分類は、ダチョウ科、エミュー科、レア科、キウイ科、ヒクイドリ科といういわゆる走鳥類面々。
ほか、ガマグチヨタカ科、ハト科、クナイモドキ科、ノガン科、キツツキ科、インコ科で確認されています。
ただし分類によっては属分類のすべての種が該当するわけではありません。
オウム目インコ科では、ボウシインコ属が代表的に扱われています。
また、尾脂腺のサイズも
白色オウム属は尾脂腺を有しますがサイズは小さく、脂粉の量は非常に多くあります。
逆にセキセインコは尾脂腺が大きく、脂粉量は比較的少ないです。
粉綿羽をもつ代表種は、エミューなどの飛ばない平均類、ハト科、ボウシインコ属など。
そして鳥種によっては特別な効力も備えています。
寒さに耐性が高かったり必要ないのであれば耐候性を優先します。
粉綿羽の粉は耐水性が高くあります。
粉綿羽を性的な補助機能として活用している鳥種も確認されています。
日本でも馴染み深いアマサギがその1つです。
繁殖期に和名の通り羽色が亜麻色へ染まりますが、その全てではないようですが色粉だとあります。(Kempenaers et al., 2007)
脂っこい粉と書く脂粉(しふん)を小学館デジタル大辞泉で引くと
1.紅とおしろい
2.女性の化粧
とあり、紅やおしろいで化粧をすることの意味です。
紅は油で溶いた臙脂虫の染料で、話が逸れていくので省略。
おしろいの漢字表記は白粉、要は美白パウダーです。
飼育下の鳥であれば、程度の差こそあれケージやその周辺には白っぽい粉の付着があります。
主には尾脂腺分泌脂や粉綿羽が劣化したコーティング剥がれや羽枝(うし|barbules)の破片でしょうか。
鳥類から排出される粉は、羽、羽鞘、皮脂、尾脂腺分泌物質を由来としたものでしょう。
脂粉の定義に明確な成分の特定が無いのであれば、これらすべてが脂粉になりえます。
水を弾くパウダーという定義はあって然るべきでしょうか。
主観ですが、真の脂粉とは水浴び時に夥しく浮き上がり、強風に吹かれれば粉塵となって舞う、あの粉です。
脂粉の量は鳥種によって左右されますが、同種であっても個体差や環境差で大きく異なります。
過敏性肺炎は、微小な原因物質が空気と一緒に肺の奥の細気管支や肺胞に入り込み、これを異物とみなして免疫の働きでリンパ球が増えて肺に炎症が起こります。
要は自己免疫疾患、アレルギー性の肺炎です。
日本における過敏性肺炎は真菌(白カビ/トリコスポロン)を原因としたものが最多とあります。
概ね7割程度はトリコスポロンによる夏型過敏性肺炎とされているようです。
次いで多いのが、鳥を原因とした鳥関連過敏性肺炎、いわゆる鳥飼病です。
その最たる要因は羽毛に含まれる微粒たんぱく質、糞です。
原因として、羽毛布団、生体(オウム、インコ、鳩)で確認されています。
(尾脂腺分泌のオウムと粉綿羽のハトが代表となっているだけに、どちらも粉は脂粉で良いのでしょう)
過敏性肺炎は大きく急性と慢性の病型に分けられます。
慢性発症型はさらに2つに分けられます。
1.急性症状を反復することにより慢性化する再燃症状軽減型
2.急性症状を認めずに不十分な抗原回避から徐々に進行する潜在発症型
喫煙者では過敏性肺炎の発症率が低いことが指摘されています。
私見ですが、これはタバコが良いというより長期間の喫煙で支障をきたさない愛煙家は根本的に肺炎に強いのではないかと。