アケボノインコ属図鑑│Pionus・ピオヌス・パイオナスの由来や分類構成など

アケボノインコの基亜種 Pionus menstruus menstruus

アケボノインコ属 Pionus について

大きな瞳短い尾羽根ずんぐりむっくりな愛らしいシルエット、下尾筒には特徴となる鮮やかな赤い羽色を備えたアケボノインコ属に分類されるインコたち。

学名ではPionus(ピオヌス)、英名だとPionus(パイオナス)と呼ばれます。

模式種のスミレインコをはじめ、飼鳥として人気の高いアケボノインコ、その他に亜種を含めて約20種で構成され、北中南米に広く分布しています。

ここではアケボノインコ属の総合的な記事としますので、それぞれの種については別記事をご覧ください。

アケボノインコ属の共通特徴

アケボノインコ属で最小級メキシコシロガシラインコ最大級シロガシラインコの体格差は小さく、属としての大雑把な平均サイズ感は概ね体長28cm前後、体重220g前後。

とても大きな黒い瞳をさらに強調するアイリング短い尾羽根ずんぐりむっくりした体型、普段の比較的ゆったりした所作も合わせて愛らしい雰囲気があります。

オスとメスで外見上にわかりやすい性差はありません。

羽色のベースカラーはスミレインコとドウバネインコを除けば緑色で、全種共通して下尾筒(undertail-coverts)に赤い羽根を備えます。

野生下では小さな群れや時には大きな群れで行動し、ねぐらでは群れ同士が合流して非常に騒がしく過ごします。

鳴き声は普段は小さく可愛らしいものですが、絶叫時には非常に大きく響き渡ります。

渡り鳥ではありませんが、季節によって生活拠点を移動する漂鳥です。

羽ばたきはボウシインコ属よりも速くて深いストロークで、飛行パターンに特徴があります。

アケボノインコ属の9種+11亜種

アケボノインコ属は模式種のスミレインコ(Pionus fuscusをはじめとした8~9種とその亜種で構成されます。

8~9というのはアケボノインコ属(Pionus)の分類構成は機関によって差違があるためです。

私はIOC(国際鳥類学会議)を基準にしつつ、IUCN(国際自然保護連合)やBLI(BirdLife International)や種の専門筋を優先する場合もあります。

近年は保全活動の観点から絶滅危惧に直面する亜種を種へ昇格するよう急がれており、IOCよりIUCNが早い対応になっています。

IOCにおけるアケボノインコ属の分類構成は2021年Ver.11においては8基亜種+10亜種ですが、ここでは9基亜種+11亜種としています。

相違の内容は2点

1.ブラジル東部に分布するアオアケボノインコ(Pionus reichenowiをIOCでは種とせず亜種(P. m. reichenowi)にしていること

2.ドウバネインコの小型亜種コドウバネインコ(Pionus chalcopterus cyanescens)をIOCでは認定していないこと

なお、サンゴバシインコCoral-billed Parrotについてはヨゴレインコの亜種(Pionus sordidus corallinus)です。

以下ここではアケボノインコ属を9種11亜種構成で扱います。

アケボノインコ属の模式種、スミレインコ Pionus fuscus / Dusky parrot

アケボノインコ属の構成一覧

Pionus fuscus
Dusky parrot
スミレインコ

Pionus sordidus
P. s. saturatus
P. s. ponsi
P. s. sordidus
P. s. antelius
P. s. corallinus
P. s. mindoensis
Red-billed Parrot
ヨゴレインコ

Pionus maximiliani
P. m. maximiliani
P. m. siy
P. m. lacerus
P. m. melanoblepharus
Scaly-headed Parrot
アケボノインコモドキ

Pionus tumultuosus
Plum-crowned Parrot
バラガシラインコ

Pionus seniloides
White-capped Parrot
シロガシラインコ

Pionus menstruus
P. m. rubrigularis
P. m. menstruus
Blue-headed Parrot
アケボノインコ

Pionus reichenowi
Blue-breasted Parrot 
アオアケボノインコ

Pionus senilis
P. s. decoloratus
White-crowned Parrot
メキシコシロガシラインコ

Pionus chalcopterus
P. c. chalcopterus
P. c. cyanescens
Bronze-winged Parrot
ドウバネインコ
ドウバネインコ
ドウバネインコ Bronze-winged Parrot

アケボノインコ属の分布域

属としての分布域は広大で、北中南米に跨ります。

最北部は北アメリカ大陸最南部のメキシコで、メキシコシロガシラインコがメキシコから中米コスタリカあたりにかけて分布します。

最南部は南アメリカ大陸のアルゼンチン北西部で、アケボノインコモドキの亜種(P. m. lacerus)が分布します。

大雑把には国ベースで下記のような分布域です。めっちゃ雑なのでいずれ作り直します。

Pionusの命名由来

世界共通の名称である学名ではアケボノインコ属を「 pionus 」と表記します。

このPionusの語源はギリシャ語で「太った」「肥えた」といった意味合いの「piōn (pionos)」です。

それが「Pionias」となり「Pionus」へと変化したものです。

ぽっちゃり体型の寸詰まった可愛らしいシルエットを比喩した命名由来で、「デブ」というよりは「ぽってり」「ずんぐりむっくり」といった可愛らしいニュアンスだと解釈しています。

アケボノインコ基亜種 Pionus menstruus menstruus

Pionusの発音 ピオヌス or パイオナス

Pionusの発音を巡っては「ピオヌス」or「パイオナス」で昔から意見が割れていました。

これは学名英名の表記がどちらも「Pionus」であることが大きな要因なのでしょう。

スペルが同じPionusであってもラテン語英語では発音が違うからです。

学名と英名が同じ表記なのは珍しいことです。

●ピオヌス pionus

学名は英語ではなくラテン語です。

ラテン語はローマ字読みで発音するのが一般的です。

よってPionusは「ピオヌス」と発音します。

例:スミレインコ Pionus fuscusピオヌス フスクス

●パイオナス Pionus

英語ではPionusを「パイオナス 」と発音します。

例:スミレインコ Dusky Pionus →  ダスキー パイオナス

※現在の標準英名はPionusをParrotに置き換えたため Dusky Parrot が標準英名です。

そもそもカタカナ表記にして日本語で発音する事がおかしいというのは置いておいて、

学名準拠であれば「ピオヌス」、英語準拠であれば「パイオナス

と発音するのが一応の正解になるのではないでしょうか。

そのため、学名と英名を混ぜた発音は間違いになるとは思います。

誤り例:Dusky Pionusダスキー ピオヌス

私のポンコツなヒアリングで無謀にも参加した国際学会の場で各国のパネラーの発音を聞くと、ヨーロッパや南米の人は「ピオヌス」、北アメリカの人は「パイオナス」と発音されている事が多いように感じました。

アケボノモドキ
アケボノインコとアケボノインコモドキ

Pionusと似たシロハラインコ属Pionites

南米に分布するズグロシロハラインコとシロハラインコからなるシロハラインコ属。

アケボノインコ属とは別属なのですが、意外なところで親しい存在でもあります。

シロハラインコ属の学名は「pionites」と表記します。

これは「Pionusに似た」という意味合いで、アケボノインコみたいな体型であることが由来です。

性質は静と動のようにかなり違うように感じる二属ですが、分布域が重複する地域もあるので野生下においても同じ枝にとまる可能性はあるかもしれませんね。

スミレインコとズグロシロハラインコ
アケボノインコ属Pionus&シロハラインコ属Pionites

アケボノインコ属の系統樹

アケボノインコ属に限らず、種の多様化は永続的な生息地の分断が大きな要因です。

近年の分子生物学的研究(mtDNAやSpindlin)による遺伝子分析において、系統樹の相関関係は解明できないというドンデン返しもあるそうですが、ここでは系統樹を元にした話。

オックスフォードアカデミックの新世界産インコのDNA配列発表や

アマゾン国立研究所(Instituto Nacional de Pesquisas da Amazônia)のCamila Cherem Ribas博士らによるアケボノインコ属の系統分類の研究論文を見ると

The assembly of montane biotas: Linking Andean tectonics and climatic oscillations to independent regimes of diversification in Pionus parrots 2007

アケボノインコ属ボウシインコ属ワキアカボウシインコ属ヨツボシミドリインコ属と密接な関係のあるアマゾン主流クレードです。

そしてアケボノインコ属はまず2つに分岐されるのですが、これをAグループ,Bグループとすると下記のようになります。

    • Aグループ
      1. アケボノインコ/アオアケボノインコ
      2. ドウバネインコ
      3. メキシコシロガシラインコ
      4. バラガシラインコ
      5. シロガシラインコ
    • Bグループ
      1. アケボノインコモドキ
      2. ヨゴレインコ
      3. スミレインコ

中でもBグループの3.スミレインコは、早々に1,2と分岐してそのまま分岐が無く、アケボノインコ属で最も亜種ブレのない種のようです。

アケボノインコ属のハイブリッド

アケボノインコ属のハイブリッドは少なからず存在します。

アケボノインコ ✕ メキシコシロガシラインコ

といった前項で同じグループであればより成立しやすいとは思いますが

メキシコシロガシラ ✕ スミレインコ

といった別グループでの組み合わせも存在しています。

ハイブリッドに興味はあまり無いのですが、特徴的なヨゴレインコと他のハイブリッドがいれば独特でしょうね。

ボウシインコ属とのハイブリッド

アケボノインコモドキとキソデボウシインコのハイブリッドとされる個体を英国の写真家が紹介されています。

ただ、この写真がどうも説得力に弱くて私には判断出来ません。

とはいえ、アケボノインコ属とボウシインコ属は比較的近い系統であり、さらにキソデボウシインコは上階層に分類されます。

アケボノインコ属の色変わり品種

品種として確率されたものはアケボノインコの全種で存在しません。

ただ、突然変異としてルチノーは存在します。

実物を見たことはありませんが、アケボノインコ、メキシコシロガシラインコ,スミレインコのルチノーあたりはネットに写真はあがっています。

 

9種それぞれの詳細記事

アケボノインコ属に分類されるインコたちの各々については下記の別記事を御覧ください。


スミレインコ図鑑

 

ヨゴレインコ/サンゴバシインコ図鑑


アケボノインコモドキ図鑑

 

バラガシラインコ図鑑

 


シロガシラインコ図鑑

アケボノインコ
アケボノインコ図鑑

 

アオアケボノインコ図鑑

 


メキシコシロガシラインコ図鑑

 

ドウバネインコ
ドウバネインコ図鑑

 

▼バラガシラインコの学名 Pionus tumultuosus の由来

ラテン語の「tumere」「tumultus」の品詞?が「tumultuosus」となったようです。
「騒がしい」を意味します。

バラガシラインコの絶叫を耳にしたことはありませんが、本気鳴きを耳にしたことのあるアケボノインコ属のみなさんは個人的にはかなり不快な耳障りさです(・Θ・)

▼ヨゴレインコの学名 Pionus sordidus の由来

ラテン語の「sordidum」で、「汚れ」を意味します。
スミレインコの英名よりはマシかもしれませんが、大概ですね(・Θ・)

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