🇦🇴アンゴラ共和国｜インコ好き視点の大阪・関西万博2025めぐり

コザクラインコを愛する者にとって🇦🇴アンゴラは馴染み深い国の１つでしょう（・Θ・）

大阪・関西万博では🇳🇦ナミビアと🇿🇦南アフリカが不参加のため、コザクラインコ分布の参加国はアンゴラのみです。

私にとっても🇦🇴アンゴラで最初に連想するのはコザクラインコ。

そして知識としてはじめて亜種の存在を知ったのもアンゴラ固有亜種のアカコザクラ A. r. catumbellaでした。

そんな私目線でのアンゴラ館とアンゴラを簡単にご紹介🐦️

なお、アンゴラウサギ（Angora rabbit）とアンゴラ（Angola）はスペルの通り無関係です🐰

アンゴラの歴史と現状

現在の🇦🇴アンゴラ共和国は1975年11月11日に🇵🇹ポルトガルの植民地から独立した共和国です。

古い文献で目にするポルトガル領西アフリカはアンゴラのことです。

独立当時の国名はアンゴラ人民共和国で、1992年に現在の国名へ変更されました。

日本語でのアンゴラ漢字表記は安哥拉。

🇵🇹

独立以降も2002年まで30年近く内戦が続き、今も残存する地雷は数百万個に及ぶといわれます。

アンゴラ内戦も典型的かつ苛烈な東西冷戦で、死者は約360万人に及んだとされます。

西側諸国との関係が弱いのは東側が勝利しているためです。

現在の治安は比較的安定しているとされ、外務省の渡航情報では治安レベル１～２。

🏥

経済的には原油やダイヤモンドなど鉱物資源を背景に急速発展するも原油価格の下落で悪化。

原油依存からの脱却を図るべく立て直し中ですが、インフレなど大きな問題も抱えています。

マラリアの発症件数ほか諸々世界最悪級で非常に低水準とされる医療体制や衛生状態も大きな課題。

大阪・関西万博でアンゴラが掲げたテーマは「健康のための教育」で、医療水準の向上が国家の命題です。

JICAの国別分析ペーパー（アンゴラ）にも詳しくまとめられています。

🇦🇴アンゴラと🇧🇷ブラジル

アンゴラの独立を最初に承認した国の１つは🇧🇷ブラジルです。

アンゴラ内戦での支援国ではありますが、この二国にはとても深い繋がりがあります。

アンゴラ地域を植民地支配したポルトガルにとって最大の奴隷供給源となりました。

ブラジルへ連行された多くの奴隷は現在のアンゴラの先住民です。

ブラジル音楽のサンバ（Samba）のルーツもアンゴラの伝統音楽センバ（Semba）です。

センバで用いるバトゥッキ（太鼓）、キサンジ（親指ピアノ）、マリンバ（木琴）なども共通します。

🇦🇴アンゴラと🇵🇹ポルトガルと🇨🇳中国

アンゴラ内戦で中国は西側の反政府軍に与した敵対支援国ですが、ポルトガルを通じてその溝を埋めています。

カジノやF1などでも知られる中国のマカオ特別行政区、通称マカオ。

このマカオは1999年12月20日までポルトガルの海外領土でした。

返還後も経済や外交面でポルトガルの影響力は大きく、中国とポルトガルの関係は強固なものです。

マカオでは現在もポルトガル語が公用語としても用いられており、ポルトガル語圏諸国の拠点です。

アフリカのポルトガル語圏諸国はアンゴラ、🇨🇻カーボベルデ、🇬🇼ギニア・ビサウ、🇲🇿モザンビーク、🇸🇹サントメ・プリンシペ、🇬🇶赤道ギニア

アフリカ以外では、🇧🇷ブラジル、🇹🇱東ティモール

いずれもポルトガル語圏諸国共同体（CPLP）の加盟国です。


日本の外交的にCPLPの加盟国との関係強化は重要な布石にもなります。

大阪・関西万博2025では、これらCPLPの加盟国すべてが参加国です。

そして2025年8月20日～日本で第9回アフリカ開発会議（TICAD／ティカッド）も開催されます。

アンゴラの所在地

アンゴラは国連による地域分類では中部アフリカの最南端に位置します。

アフリカ大陸を九州に例えるなら概ね鹿児島と熊本の県境あたり。

国土面積は日本の約3.3倍の37万8000k㎡。

総人口は日本の約1/4の約3,000万人、主要公用語は🇵🇹ポルトガル語。

隣国は4カ国、🇨🇩コンゴ民主共和国、🇨🇬コンゴ共和国、🇿🇲ザンビア、🇳🇦ナミビア

アンゴラの国旗🇦🇴

万博のアンゴラパビリオンの配色は国旗に合わせた赤黒黄を基調としています。

元々は独立戦争時の主要組織の旗を意匠としたデザインで、赤は独立戦争で流れた血、黒はアフリカを表しています。

中心部の歯車は工業、ナタは農業、★とで労働者を表し、ソ連の国旗に模した社会主義の象徴。

2003年に新しいデザインの国旗に変更する案もありましたが、国民投票で否決され保留中です。

→アンゴラの国旗＠wikipedia.org

アンゴラの通貨

現在の通貨はクワンザで、紙幣のデザインに鳥はありません。

2025年4月現在の為替は概ね100円＝625.55クワンザ。クワンザ為替レート

クワンザの由来は、この地に大昔から住まう人たちが貨幣の代わりに用いていた貝殻を用いていたこと。

そしてアンゴラ最大の河川であるクワンザ川（Kwanza River / Cuanza River）が通貨名に採用されました。

アンゴラの自然

アンゴラは大西洋から山岳地帯、砂漠、熱帯雨林、豊かな自然と過酷な自然をもった国土です。

キッサマ国立公園やカランドゥーラ滝など有名どころの自然観光地もあります。

YouTubeにも沢山の動画がありますが、在アンゴラ日本国大使館では古いながら雰囲気のあるブログ記事が楽しめます。

アンゴラの気候

アンゴラの国土には砂漠や熱帯林もあり、気候は地域による差が大きくあります。

それらの地域は大きく4つにわけられ、それぞれに環境適応した生物がいます。

細分化された生物地理学的地域（エコリージョン）だと15にわけられます。

アンゴラの主要地域の気候

大西洋沿岸側の首都ルアンダでは1年を通じた最低最高気温は20度～30度で推移。

内陸中央部のウアンボでは気温8度～28度あたりで推移。

ルアンダでは概ね5月～9月の乾季、9月～4月の雨季とされます。

以下は幾つかのポイントの気象をWeather Sparkで。

●ルアンダ｜大西洋沿岸側に所在する首都

●ルカパ Lucapa｜内陸北部のダイヤモンド鉱山地帯

●ルアウ Luau｜東部のコンゴ民国境付近

●ウアンボ Huambo｜標高の高い内陸中央部の内陸性気候

●ルバンゴ Lubango｜南部ナミブ砂漠側

●オンジバ Ondjiva｜南部ナミビア砂漠側

ここでは省略しますがWeather Sparkで各地比較も可能です。

🇦🇴アンゴラ共和国にとって大阪・関西万博2025は建国50周年の節目の年です。

7/29のナショナル・デーにはアンゴラの首相が来賓されました。

国家として注力する事業であることが窺えます。

この投稿をInstagramで見る

Angola at Expo 2025 Japan(@expoangola_oficial)がシェアした投稿

アフリカ諸国の参加は多数ありますが、中でもアンゴラは気合が入っていました。

なんといっても参加国が独自に設計・建設するタイプAパビリオンでの参加を表明したことからも明らかです。

アフリカの参加国でアンゴラのみが単独での独立パビリオンです。

しかし大きな問題が起きてしまいました…

アンゴラは2024年のGDPでアフリカ53カ国中の8位。

2位のエジプトでさえタイプBでの参加です。

アンゴラの国力から考えると相当な背伸びを感じられますが、結果的にその無理が祟って頓挫します。

そして博覧会協会が建設代行するタイプXに変更されました。

4月13日の開幕日の1日だけはオープンしたものの即休止、再開業は6月26日という大幅遅延になりました。

さらに工事費未払事件で話題になり、博覧会協会や維新の会を叩きたい勢の印象操作に使われた感も。

ところで渦中の㈱一六八建設の登記情報をみると、2024年6月までは名古屋にあった㈱１６８が社名変更したものです。

その登記住所がどちらもこんぱまる大阪店と名古屋店に近いという偶然。

アンゴラ館の展示内容は、映像と展示と飲食およびミニステージ。

最初にチッソラの夢という史実を元にし約10分の映像を50席ほどのミニシアターで見ることが必須です。

伝統医療が一般的な村でマラリアに感染した女児チッソラでしたが、現代医療機関に命を救われて自身も医療従事者となるといったお話。

映像鑑賞必須のパビリオンはボトルネックとなって入場制限に直結するのが惜しいところです。

映像を見終わったあとに補足と郷土品の展示、カフェレストラン、および特設ステージ。

時折ノリノリなライブも行われています。

展示内容は入れ替わることもありますが、私の知る限りでは直接的なインコの展示はありません。

とはいえ、アンゴラゆかりの動植物、特にパランカ・ネグラとバオバブのモチーフは散見されます。

バオバブとはアオイ目パンヤ科バオバブ属の植物の総称です。

アンゴラのバオバブはアフリカバオバブ（African Baobab／Adansonia digitata）。

アンゴラではイムボンデイロ（Imbondeiro）と呼ばれ、ここのカフェレストランの名称にも使われています。

イムボンデイロの特徴としてカカオのような細長い形状の実をつけます。

いわゆるスーパーフードとしても重宝されていますが、アフリカバオバブの木は沢山の動植物にとって重要な存在です。

鳥類にとっても同様で、さまざまな鳥類が集います。


アンゴラの植物としては奇想天外（ウェルウィッチア）も有名です。

立派な角を持つ黒いレイヨウはアンゴラ固有種のパランカ・ネグラ（Palanca Negra／Giant sable antelope）。

アンゴラの内戦は野生動物にとっても長く厳しい影響をもたらし、多くの種が絶滅の危機に瀕しました。

ワシントン条約

ワシントン条約とは、野生生物を持続可能な資源や財産として絶滅の危機から守るための国際規制です。

1975年7月1日に発行され、2024年末で185カ国が締約しています。

詳しくは別記事をご覧ください。

参考

CITES｜絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約

OPiときめく愛鳥図鑑

アンゴラのワシントン条約締約

🇦🇴アンゴラがワシントン条約に締約したのは2013年末の第16回締約国会議、通称Cop16。

アンゴラでは長く続いた戦乱は野生動物にとっても長く厳しい影響をもたらし、多くの種が絶滅の危機に瀕しました。

おそらく最も問題視されたのは象牙市場による乱獲でしょう。

2004年10月に🇹🇭タイのバンコクで開催された象牙がメインのCoP13でアンゴラは締結を余儀なくされた感じに。

第13回締約国会議でのオウム目

私にとって2004年のCoP13で最も注目された議題はコザクラインコ。

サイテスII類から削除されました。

なお、当時のアンゴラは未締約でした。

ほか、コバタン、フジイロボウシインコはI類に昇格。

オウム目以外ではハクトウワシがI類からII類へ降格されるなど、話題の多い年でした。

アンゴラからの輸出

アンゴラから少なくとも手続き上で日本へ正規輸出された鳥類の記録は一切ありません。

近年の輸出先はポルトガル、ブラジル、ロシアなどで、内容もほぼ少数のヨウムです。

アンゴラ固有かつ国鳥のアカガシラエボシドリも輸出記録はありません。

🇦🇴アンゴラには約1,000種の鳥類が分布します。

アンゴラ固有鳥類は13種で、その内の1種は国鳥でもあるアカガシラエボシドリ。

オウム目は7種が分布します。

アンゴラのバードウォッチングツアーの紹介サイトAngola Birding Toursが良い感じにまとめておられます。


以下、オウム目以外の和名をAvibase、eBird、分布域をwikipedia英語版に準拠します。

国鳥（National Bird）の選定基準は各国様々ですが、いずれにしてもその国を代表する鳥です。

アンゴラの国鳥はアカガシラエボシドリ（Red-crested turaco 、Tauraco erythrolophus）。

アンゴラの西部だけに分布する固有種で、アンゴラエボシドリと呼ばれることもあります。

IUCN RedListの評価は2004～2024年においてLC（低危険種）

CITESのカテゴリはCITES Appendices II

この国鳥、アンゴラから正規輸出された記録は1羽もありません。

アンゴラのワシントン条約締約は2013年末で、そもそも30年におよぶアンゴラ内戦の国です。

象牙の密輸が盛んだったとはいえ金にならない鳥類の輸出に積極的だったかに疑問はあります。

とはいえ古くから欧州で飼育鳥として人気が高く、飼育下繁殖された個体の流通もあります。

2023年に韓国がスペインから数羽輸入していたり、ポルトガルやフランスからの流通もあります。

日本にも近年では2015年～2019年にベルギーから15羽が輸入されました。

2015年輸入の2羽はニフレルで活躍したのち2021年末にシンガポール動物園へ転出されました。

▼アンゴラに分布するエボシドリの仲間

アンゴラにはエボシドリが他にも7種の分布があります。

こうしてみると日本に輸入されたことがないのはムラサキエボシドリとハシブトエボシドリだけです。

ムラサキエボシドリは一度は見てみたい憧れの鳥です。

▼特殊な色素を有するエボシドリ属

エボシドリ属Tauraco は🟢緑色要素のツラコバシンturacoverdinと🔴赤色要素のツラシンturacinという色素を有する特殊な鳥類です。

鳥類の羽色の謎に興味を持てば必ず知ることになる存在です。

中でも象徴するように体現するアカガシラエボシドリ、ニシアカガシラエボシドリTauraco bannermani、フィッシャーエボシドリTauraco fischeriの3種は特別です。

※色素については羽色の記事で。

日本にも掛川花鳥園ほか見れる施設がありますので、是非美しさと可愛らしさを観察してみてください。

アフリカ大陸本土に分布するオウム目は4属21種およびその亜種。

そのうち🇦🇴アンゴラには3属7種（6亜種）が分布します。

ヨウム属1種、ハネナガインコ属4種、ボタンインコ属2種、ホンセイインコ属0種。

種の個別解説は省略しますので、図鑑の別記事で。

アンゴラに分布するオウム目7種とその亜種

分布図はIUCN、分類はIOC Ver15.1、和名は黒田標準和名、に準拠（2025.4現在）
2023年認定のクロクモインコ新亜種Poicephalus rueppellii mariettaeの和名は学名を転用

クロクモインコの分布国は🇦🇴アンゴラと🇳🇦ナミビアです。

ルアンダを北上とするアンゴラ南西部からナミビア北部からセスリエムを南下とする中央部に分布します。

クロクモインコの分類再編

これまで単型種（monotypic species）とされていましたが、2023年に2亜種へ細分化されました。*Hubers & Schnitker (2022)

P. r. rueppellii
アンゴラ北西部と西中央部（ベンゲラ、ルアンダ周辺のみ）の限られたエリアに生息。
全体的に小型で平均翼長132-140cm
全体的に羽色が暗い
メスの腰と下腹部がとても淡いターコイズブルー

P. r. mariettae
アンゴラ南西部とナミビア北部から中央部に広く分布。
全体的に大型で平均翼長142-155mm
全体的にな音色が淡い
メスの腰と下腹部はとても濃いウルトラマリンブルー

マリエッタクロクモ

新亜種に標準和名はありませんが、学名の亜種小名mariettaeを用いたマリエッタクロクモが妥当でしょう。

ただ、この名称は登録者のJos Hubersの妻の名前Mariëtteに因んだものです。

近年の人名を用いないという風潮とは逆行するかもしれません。

とはいえ、学名Poicephalus rueppelliiの種小名も、英名Rüppell’s parrotにしても人名です。

ドイツの博物学者で探検家のエドゥアルト・リュッペルの名を冠した命名由来です。

性差♀♂

特に大変興味深いことが二点。

ムラクモインコはインコで唯一メスの方が鮮やかな羽色をもつことで知られる種です。

メスは色鮮やかで映える青色の羽をもち、オスはそうでもなく、性成熟とともに消える。

顕著な性的二型ではないながら、この根拠は1882年にロンドン動物園で見出された特徴です。

昭和42年に黒田先生が解説された文献にもTavistockの引用として♀が♂より美しい唯一のインコの旨が記されています。

しかし140年近く経ったいま、この差は亜種間での差異だった可能性が示されました。

基亜種P. r. rueppelliiの淡いターコイズブルーと、亜種P. r. mariettaeのマリンブルーの差では無いのかと。

私自身クロクモインコを見た絶対数も僅かでその性別も不明なので判断の材料に乏しいのは惜しいところ。

流通種

大変興味深いもう一点。

新分類で基亜種の分布域はアンゴラの限られたエリアとされます。

そして新亜種P. r. mariettaeはナミビアとアンゴラに広く分布します。

アンゴラからの流通自体が難しく、単型種とされていた種をあえて捕獲難易度を跳ね上げる理由もありません。

すなわち流通する個体の多くはおそらくP. r. mariettaeであると推測されます。

ただ、ロンドン動物園での経緯を考えると、基亜種の流通も有り得ないわけではありません。

飼育下繁殖であれば亜種間交雑個体の可能性もあります。

私がシンガポールで見た個体はリュッペリのようにも見えることや、近年の日本で流通する個体は殆どがシンガポール、フィリピン、台湾からの輸入個体です。

せめてもう少し個体を見てみたいところですが、クロクモインコを見る機会も随分と減りました。

好みのインコなのですが人気は低いですしねー

ムラクモインコ図鑑記事の下書きをこちらに

ムラクモインコ

ムラクモインコは分布地によって6亜種に細分化されており、羽色に違いがあります。

アンゴラには基亜種の分布は無く、3亜種が分布しています。

私の目にした日本で流通している個体数は少なく、性成熟した個体ばかりでもありません。

要は浅い私見なのですが、日本で流通する個体の多くはウガンダムラクモ、或いは亜種をわけていない飼育下での異亜種間交雑個体なのだろうと推察しています。

節穴の目が肥えてくればもっと確証に近づけるかもしれませんが、ムラクモを目にする機会も随分と減りました。

ムラクモインコの流通

日本に近年輸入されているムラクモインコの輸出元は殆どがフィリピン、およびベルギーです。

しかし1980年頃にはタンザニアからの凄まじき数のワイルドが入っていました。

欧米も同様で、当時はタンザニア便やセネガル便が非常に盛んでした。

Global Ecology and Conservationのレポートではムラクモインコは約6.8万羽が国際取引されたとされます。

それでも大乱獲されたネズミガシラハネナガインコの1割にも満たない数です。

タンザニアのウガンダムラクモ

タンザニアに分布するムラクモインコは亜種のP. m. saturatus、ウガンダムラクモです。

基産地は🇺🇬ウガンダのアンコーレ（Ankole）で、和名が少々紛らわしくなっています。

タンザニア便やセネガル便で大量輸出されたムラクモインコは原則ウガンダムラクモです。

これらはムラクモインコとして流通しています。

それらの血統からの飼育下繁殖であればウガンダムラクモあるいは異亜種間交雑ムラクモインコである可能性が高いと推察されます。

ただし近年の日本に流通する個体はフィリピン便が多いため、その親のルーツは不透明ではあります。

亜種も種として流通

亜種の方がよほど高額取引されるということでもなければ亜種名で流通することは原則ありません。

亜種を種名で呼ぶこと自体も誤りではありません。

日本人を関西人や沖縄人といった括りにわけるようなものでしょう。

そもそも亜種への理解は皆無に等しく、種の保存を謳うような動物園だろうと一般的に鳥はごちゃ混ぜです。

欧米の一部のマニアやロロパークでは出来る限り正確な分類で繁殖していますが、とても厳しい状況です。

市場としても亜種への関心は低く、世界中の飼育下繁殖個体で異亜種間交雑が一般的でしょう。

アンゴラチャビタイムラクモ

ネットでの写真をみているとアンゴラチャビタイムラクモあるいはナンアムラクモっぽく見える個体もいます。

アンゴラチャビタイムラクモはアンゴラに分布するムラクモインコの亜種の１つP. m. reichenowiです。

特徴としてチャビタイの名の示す通り額の黄色がありません。

登録は1898年のNeumannで、和名命名は1967年の黒田先生。

基産地はアンゴラのマランジェ（Malange）とベルギー領コンゴ（現在のコンゴ民主共和国）の近接地。

Verein Vogelfreunde Hamburg-LurupのAlle6右上が該当亜種。

アンゴラ現地で撮影されたCornellLabのAlexandre Hespanhol Leitãoさんの写真は高確率で正解なのでしょう。