🇦🇴アンゴラ共和国|インコ好き視点の大阪・関西万博2025めぐり

アンゴラ共和国

アンゴラについて

コザクラインコを愛する者にとって🇦🇴アンゴラは馴染み深い国の1つでしょう(・Θ・)

大阪・関西万博2025では🇳🇦ナミビアと🇿🇦南アフリカが不参加のため、コザクラインコ分布参加国アンゴラのみです。

私にとっても🇦🇴アンゴラで最初に連想するのはコザクラインコ

そして知識としてはじめて亜種の存在を知ったのもアンゴラ固有亜種アカコザクラ A. r. catumbellaでした。

そんな私目線でのアンゴラを簡単にご紹介🐦️

なお、アンゴラウサギ(Angora rabbit)とアンゴラ(Angola)はスペルの通り無関係です🐰

アンゴラの歴史と現状

現在の🇦🇴アンゴラ共和国1975年11月11日ポルトガルの植民地から独立した共和国です。

独立当時の国名はアンゴラ人民共和国で、1992年に現在の国名へ変更されました。

なお、1951年までの国名はポルトガル領西アフリカ

🇵🇹

独立以降も2002年まで30年近く内戦が続き、今も残存する地雷数百万個に及ぶといわれます。

外務省の渡航情報では治安レベル1~2

経済的には原油ダイヤモンドなど鉱物資源を背景に急速発展中ですが、インフレなど大きな問題も抱えています。

マラリアの発症件数ほか諸々世界最悪級非常に低水準とされる医療体制衛生状態も大きな課題。

大阪・関西万博でアンゴラが掲げたテーマは「健康のための教育」で、医療水準の向上国家の命題です。

🇦🇴アンゴラと🇧🇷ブラジル

アンゴラの独立最初に承認した国の1つは🇧🇷ブラジルです。

この二国にはとても深い繋がりがあります。

アンゴラ地域植民地支配したポルトガルにとって最大の奴隷供給源となりました。

ブラジルへ連行された多くの奴隷は現在のアンゴラの先住民です。

ブラジル音楽のサンバ(Samba)のルーツはアンゴラの伝統音楽センバ(Semba)です。

センバで用いるバトゥッキ(太鼓)、キサンジ(親指ピアノ)、マリンバ(木琴)なども共通します。

なお、マリンバは神戸どうぶつ王国のハシビロコウの名前にも使われており、強いて言えば拡大解釈でアフリカ縁ではありますが生息圏とは無関係です。

🇦🇴アンゴラと🇵🇹ポルトガルと🇨🇳中国

カジノF1などでも知られる中国マカオ特別行政区、通称マカオ

このマカオは1999年12月20日までポルトガルの海外領土でした。

返還後も経済や外交面でポルトガルの影響力は大きく、中国とポルトガルの関係は強固なものです。

マカオでは現在もポルトガル語が公用語としても用いられており、ポルトガル語圏諸国の拠点です。

アフリカのポルトガル語圏諸国アンゴラ、🇨🇻カーボベルデ🇬🇼ギニア・ビサウ🇲🇿モザンビーク🇸🇹サントメ・プリンシペ、🇬🇶赤道ギニア

アフリカ以外では、🇧🇷ブラジル、🇹🇱東ティモール

いずれもポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)の加盟国です。

生体の流通という点においても中国の影響力が強く出ます。

日本の外交的にCPLPの加盟国との関係強化は重要な布石にもなります。

大阪・関西万博2025では、これらCPLPの加盟国すべてが参加国です。

4月30日 ベトナム戦争が終結。

6月25日 現在の🇲🇿モザンビーク共和国ポルトガルの植民地から独立してモザンビーク人民共和国となる。

7月12日 現在の🇸🇹サントメ・プリンシペ共和国ポルトガルの植民地から独立

11月11日 現在の🇦🇴アンゴラ共和国(旧ポルトガル領アンゴラ)ポルトガルの植民地から独立して🇦🇴アンゴラ人民共和国となる。

11月25日 現在の🇸🇷スリナム(旧:オランダ領ギアナ)がオランダの植民地から独立

4月1日 サザエさん放送開始
4月4日 マイクロソフト設立
4月5日 秘密戦隊ゴレンジャー』が放送開始
6月14日ローソン1号店(豊中桜塚店)OPEN

アンゴラの所在地

アンゴラは国連による地域分類では中部アフリカ最南端に位置します。

アフリカ大陸九州に例えるなら概ね鹿児島と熊本の県境あたり

国土面積日本の約3.3倍37万8000k㎡

総人口日本の約1/4約3,000万人、主要公用語は🇵🇹ポルトガル語

隣国は4カ国、🇨🇩コンゴ民主共和国、🇨🇬コンゴ共和国、🇿🇲ザンビア、🇳🇦ナミビア

アンゴラの国旗🇦🇴

万博のアンゴラパビリオンの配色は国旗に合わせた赤黒黄を基調としています。

元々は独立戦争時の主要組織の旗を意匠としたデザインで、赤は独立戦争で流れた血、黒はアフリカを表しています。

中心部の歯車は工業、ナタは農民、★とで労働者を表し、ソ連の国旗に模した社会主義の象徴。

2003年に新しいデザインの国旗に変更する案もありましたが、国民投票で否決され保留中に。

アンゴラの国旗@wikipedia.org

アンゴラの通貨

現在の通貨はクワンザ。

その由来は、この地に大昔から住まう人たちが貨幣の代わりに用いていた貝殻を用いていたこと。

そしてアンゴラ最大の河川であるクワンザ川であることから通貨名に採用されました。

現在の通貨のデザインに鳥は無さそうです。

2025年4月現在の為替は概ね100円=625.55クワンザ

クワンザ為替レート

アンゴラの自然

アンゴラは大西洋から山岳地帯、砂漠、熱帯雨林、豊かな自然と過酷な自然をもった国土です。

キッサマ国立公園やカランドゥーラ滝など有名どころの自然観光地もあります。

YouTubeにも沢山の動画がありますが、在アンゴラ日本国大使館では古いながら雰囲気のあるブログ記事が楽しめます。


アンゴラの気候

アンゴラの国土には砂漠熱帯林もあり、気候地域による差が大きくあります。

それらの地域は大きく4つにわけられ、それぞれに環境適応した生物がいます。

細分化された生物地理学的地域エコリージョン)だと15にわけられます。

アンゴラの主要地域の気候

大西洋沿岸側首都ルアンダでは1年を通じた最低最高気温は20度~30度で推移。

内陸中央部のウアンボでは気温8度~28度あたりで推移。

ルアンダでは概ね5月~9月の乾季、9月~4月の雨季とされます。

以下は幾つかのポイントの気象をWeather Sparkで。

ルアンダ|大西洋沿岸側に所在する首都

ルカパ Lucapa|内陸北部のダイヤモンド鉱山地帯

ルアウ Luau|東部のコンゴ民国境付近

ウアンボ Huambo|標高の高い内陸中央部の内陸性気候

ルバンゴ Lubango|南部ナミブ砂漠側

オンジバ Ondjiva|南部ナミビア砂漠側

ここでは省略しますがWeather Sparkで各地比較も可能です。

アンゴラパビリオン|大阪・関西万博EXPO2025

アンゴラ館 Angola pavilion

🇦🇴アンゴラ共和国にとって大阪・関西万博2025は建国50周年の節目の年です。

7/29のナショナル・デーにはアンゴラの首相が来賓されたり、国家として注力する事業であることが窺えます。

なんといっても参加国が独自に設計・建設するタイプAパビリオンでの参加を表明したことからも明らかです。

アフリカの参加国でアンゴラのみが単独での独立パビリオンです。

しかし背伸びが過ぎました…

World Development Indicators | DataBank

アフリカからの参加国での2024年GDPランキングおよびパビリオン契約タイプ

1位 南アフリカ(未参加)
2位 エジプト(タイプB
3位 アルジェリア(タイプB
4位 ナイジェリア(タイプA断念→Commons)
5位 モロッコ(未参加)
6位 エチオピア(タイプCommons)
7位 ケニア(タイプCommons)
8位 🇦🇴アンゴラ(タイプA断念→X
9位 コートジボワール(タイプCommons)
10位 ガーナ(タイプCommons)
11位 タンザニア(タイプCommons)
12位 コンゴ民主共和国(タイプCommons)
13位 ウガンダ(タイプCommons)
14位 チュニジア(タイプCommons)
15位 カメルーン(タイプCommons)

アンゴラは2024年のGDPでアフリカ53カ国中の8位

2位エジプトでさえタイプBでの参加です。

アンゴラの国力から考えると相当な背伸びを感じられますが、結果的にその無理が祟って頓挫します。

そして博覧会協会が建設代行するタイプXに変更されました。

4月13日の開幕日の1日だけはオープンしたものの即休止、再開業は6月26日という大幅遅延になりました。

さらに工事費未払事件で話題になり、博覧会協会維新の会を叩きたい勢の印象操作に使われた感も。

ところで渦中の㈱一六八建設の登記情報をみると、2024年6月までは名古屋にあった㈱168が社名変更したものです。

その登記住所がどちらもこんぱまる大阪店名古屋店に近いという偶然。

アンゴラ館の展示内容は、映像と展示と飲食およびミニステージ。

最初にチッソラの夢という史実を元にし約10分の映像を50席ほどのミニシアターで見ることが必須です。

伝統医療が一般的な村でマラリアに感染した女児チッソラでしたが、現代医療機関に命を救われて自身も医療従事者となるといったお話。

映像鑑賞必須のパビリオンはボトルネックとなって入場制限に直結するのが惜しいところです。

映像を見終わったあとに補足と郷土品の展示およびカフェレストラン。

インコや鳥類の展示はありませんが、アンゴラゆかりの動物やバオバブのモチーフは散見されます。

バオバブとはアオイ目パンヤ科バオバブ属の植物の総称です。

このバオバブはアフリカバオバブ(African Baobab/Adansonia digitata)。

アンゴラではイムボンデイロ(Imbondeiro)と呼ばれ、ここのカフェレストランの名称にも使われています。

イムボンデイロの特徴としてカカオのような細長い形状の実をつけます。

アンゴラの植物としては奇想天外(ウェルウィッチア)も有名ですが、ナミビアのイメージが強いからか紹介は見当たらず。

立派な角を持つ黒いレイヨウはアンゴラ固有種のパランカ・ネグラ(Palanca Negra/Giant sable antelope)。

アンゴラの内戦は野生動物にとっても長く厳しい影響をもたらし、多くの種が絶滅の危機に瀕しました。

アンゴラのワシントン条約

アンゴラに分布する鳥類
ワシントン条約

ワシントン条約とは、野生生物持続可能な資源や財産として絶滅の危機から守るための国際規制です。

1975年7月1日に発行され、2024年末で185カ国が締約しています。

詳しくは別記事をご覧ください。

アンゴラのワシントン条約締約

🇦🇴アンゴラがワシントン条約に締約したのは2013年末第16回締約国会議、通称Cop16

アンゴラでは長く続いた戦乱は野生動物にとっても長く厳しい影響をもたらし、多くの種が絶滅の危機に瀕しました。

おそらく最も問題視されたのは象牙市場による乱獲でしょう。

2004年10月に🇹🇭タイのバンコクで開催された象牙がメインのCoP13でアンゴラは締結を余儀なくされた感じに。

第13回締約国会議でのオウム目

私にとって2004年のCoP13で最も注目された議題はコザクラインコ。

サイテスII類から削除されました。

なお、当時のアンゴラは未締約でした。

ほか、コバタン、フジイロボウシインコはI類に昇格。

オウム目以外ではハクトウワシがI類からII類へ降格されるなど、話題の多い年でした。

アンゴラからの輸出

アンゴラから少なくとも手続き上で日本へ正規輸出された鳥類記録は一切ありません

近年の輸出先ポルトガルブラジルロシアなどで、内容もほぼ少数のヨウムです。

アンゴラ固有かつ国鳥アカガシラエボシドリ輸出記録ありません

アンゴラ共和国に分布する鳥類

アンゴラに分布する鳥類

🇦🇴アンゴラには約1,000種の鳥類が分布します。

アンゴラ固有鳥類13種で、その内の1種は国鳥でもあるアカガシラエボシドリ

オウム目7種が分布します。

アンゴラのバードウォッチングツアーの紹介サイトAngola Birding Toursが良い感じにまとめておられます。


以下、オウム目以外の和名をAvibase、eBird、分布域をwikipedia英語版に準拠します。

※英名は該当wikipediaページへリンクします。


●アカガシラエボシドリ
Red-crested turaco, Tauraco erythrolophus

●クロクビワシャコ
Swierstra’s francolin, Pternistis swierstrai

●アンゴラシャコ
Gray-striped francolin, Pternistis griseostriatus

●コシアカネズミドリ
Red-backed mousebird, Colius castanotus

●クロオビメガネヒタキ
White-fronted wattle-eye, Platysteira albifrons

●ハイイロメガネモズ
Angola helmetshrike, Prionops gabela

●ブラウンヤブモズ
Braun’s bushshrike, Laniarius brauni

●アンゴラヤブモズ
Gabela bushshrike, Laniarius amboimensis

●アンゴラハシナガムシクイ
Pulitzer’s longbill, Macrosphenus pulitzeri

●アンゴラヒタキ
Angola slaty-flycatcher, Melaenornis brunneus

●セキレイツグミヒタキ
Angola cave-chat, Xenocopsychus ansorgei

●サメヒメコマドリ
Gabela akalat, Sheppardia gabela

●アンゴラカエデチョウ
Angola waxbill, Coccopygia bocagei

アンゴラの国鳥|アカガシラエボシドリ

国鳥(National Bird)選定基準は各国様々ですが、いずれにしてもその国を代表する鳥です。

アンゴラの国鳥はアカガシラエボシドリ(Red-crested turaco 、Tauraco erythrolophus)。

アンゴラの西部だけに分布する固有種で、アンゴラエボシドリと呼ばれることもあります。

IUCN RedListの評価は2004~2024年においてLC(低危険種)

CITESのカテゴリはCITES Appendices II

この国鳥、アンゴラから正規輸出された記録はありません

とはいえ古くから欧州で飼育鳥として人気が高く、飼育下繁殖された個体の流通もあります。

2023年に韓国スペインから数羽輸入していたり、ポルトガルフランスからの流通もあります。

このあたり流通は植民地時代の影響が見て取れます。

日本にも近年では2015年~2019年にベルギーから15羽が輸入されました。

2015年輸入の2羽はニフレルで活躍したのち2021年末にシンガポール動物園へ転出されました。

▼特殊な色素を有するエボシドリ属

エボシドリ属Tauraco トラコバシンツラシンという色素を有する特殊な鳥類です。

鳥類の羽色の謎に興味を持てば必ず知ることになる存在です。

中でも象徴するように体現するアカガシラエボシドリニシアカガシラエボシドリフィッシャーエボシドリの3種は特別です。

※色素については羽色の記事で。

日本にも掛川花鳥園ほか見れる施設がありますので、是非美しさと可愛らしさを観察してみてください。

アンゴラに分布するオウム目

アフリカ大陸本土には3属20種のオウム目分布します。

🇦🇴アンゴラには3属7種(6亜種)の分布があります。

種の個別解説は図鑑記事にするので省略します。

アンゴラに分布するオウム目7種とその亜種

オウム目和名は当サイトの分類と名称の指針裏取りしたものです。
クロクモインコの2023年にIOCで認定された新亜種の和名は学名をそのまま転用したものです。

ボタンインコ属

🟢コハナインコ
Red-headed lovebird
Agapornis pullarius
A. p. pullarius

🟢コザクラインコ
Rosy-faced lovebird
Agapornis roseicollis
A. r. roseicollis
A. r. catumbella 亜種アカコザクラ

ヨウム属

🟢ヨウム
Gray parrot
Psittacus erithacus

ハネナガインコ属

🟢ズアカハネナガインコ
Red-fronted parrot
Poicephalus gulielmi
P. g. gulielmi

🟢セイアオオハネナガインコ
Brown-necked parrot
Poicephalus fuscicollis
P. f. suahelicus 亜種トウアオオハネナガ

🟢ムラクモインコ
Meyer’s parrot / Brown Parrot
Poicephalus meyeri
P. m. matschiei 亜種トウアムラクモ
P. m. reichenowi 亜種アンゴラチャビタイムラクモ
P. m. damarensis 亜種チャビタイムラクモ

🟢クロクモインコ
Rüppell’s parrot
Poicephalus rueppellii
P. r. rueppellii
P. r. mariettae
※2023登録の新亜種|マリエッタクロクモ(独自和名)

すべて気になる種たちではあるのですが、ムラクモインコだけここで少し。

アンゴラチャビタイムラクモ

ムラクモインコ分布地によって6亜種に細分化されており、羽色に違いがあります。

私の目にした日本で流通している個体は基亜種トウアムラクモ、或いは亜種をわけていない飼育下での異亜種間交雑個体なのだろうと想像しています。

とはいえ目にした個体の絶対数がとても少なく、性成熟した個体ばかりでもありません。

要は浅い私見かつ正解に辿り着けるわけでもない推察ですがー

ウガンダムラクモ

日本に近年輸入されているムラクモインコの輸出元は殆どがフィリピン、およびベルギーです。

1980年頃にはタンザニアから凄まじき数のワイルドが入っていたようです。

タンザニアに分布する亜種はP. m. saturatusウガンダムラクモです。

ウガンダムラクモは基亜種よりも腰色が鮮やかな青色で、背中の緑色が明るい発色とされます。

世界的にも大変な数がタンザニアから輸出されているため、もしかすると基亜種と思っているのはウガンダムラクモかもしれません。

アンゴラチャビタイムラクモ

そんな中で興味を惹くことに、ネットでの写真をみているとアンゴラチャビタイムラクモっぽく見える個体もいます。

アンゴラに分布するムラクモインコの亜種の1つP. m. reichenowiです。

特徴はチャビタイの名の示す通り額の黄色が無いことです。

登録は1898年のNeumannで、和名命名は1967年の黒田先生。

基産地はアンゴラのマランジェ(Malange)とベルギー領コンゴ(現在のコンゴ民主共和国)の近接地。

アンゴラで撮影されたCornellLabのAlexandre Hespanhol Leitãoさんの写真は該当亜種でしょう。

ムラクモインコの亜種についてはVerein Vogelfreunde Hamburg-Lurupが詳しくまとめられています。

こんなペースでは158国が万博開催中に終わるわけはなく、どうしたものか